「九竜が宣伝したら瞬時にバズりそうよ」
「興味ない」
「まあこういうのは得手不得手あるからね」
「確かに。女子からのDMすごそうだし、やらなくて正解かもね」
「DM!?」
「あら、知らない?SNSのナンパって結構多いのよ」


そうなんですか!?
最近はそんな高度なナンパがあるの!?

蒼永がSNSやってなくてよかった…!!


「…やっぱり咲玖は宣伝しなくていいよ」
「えっ!?私だけ何もしないのもどうなの?」
「咲玖はいいの。俺の許嫁だから」
「えっ…」

「それよりトランプでもしない?」
「いいね!やろうよ」


桃ちゃんが持ってきたトランプで、みんなで遊ぶことに。
旅の道中も既に楽しすぎる。

仲良しの親友と、そして大好きな許嫁も一緒の初めての旅行…絶対素敵な思い出にしたいな!


* * *


到着した旅館はオープンしたばかりということもあり、とにかく綺麗!

「いらっしゃいませ。九竜様ですね、お待ちしておりました」

仲居さんがズラリと並び、私たちに深々とお辞儀してくれる。
まるでVIPになったみたい…!


「こうゆうの見ると、九竜ってボンボンなんだなって感じるわ」
「そうだね」


…そうか、そもそもVIPなのか。
私たちじゃなくて、蒼永が。


「蒼永ってすごいんだね〜」
「俺じゃなくて、じいちゃんがね」
「つーか咲玖、わかってんの?そのすごい家の嫁になるのよ?」
「はっ、そうだった!」


ちゃんとお行儀良くしないと…!!
こんな子が許嫁?って思われたくない!!