教室に入った途端、クラスの女子たちに囲まれた。


「めちゃくちゃイケメンと一緒にいたよね!?」
「もしかして彼氏!?」

「かっ彼氏じゃないよ!あの人はい…、」
「彼氏なのよね!!」


ちょっと桃ちゃん!?
割り込んできた桃ちゃんは、小声で耳打ちする。


「バカね!許嫁なんて言ったら説明がめんどくさいでしょうが!」
「それもそっか…えっでも彼氏でもない…」
「いいからそうゆうことにしておきなさい!」


えええ……。

クラスの子たちは「やっぱり彼氏なんだ!」とざわついている。なんかいつの間にか男子たちまで集まってきているような…。

遠くで困ったような笑みを浮かべる大志くんが目に入った。

ど、どうしよう…でも、


「おっ幼馴染!!」
「え?」
「彼氏じゃなくて、幼馴染なの…!!」


これなら嘘ついてない!!
隣で呆れてる桃ちゃんの顔が見えるけど、気にしない!


「九州にいたんだけど、こっちに戻ってきて…今日が初登校だから、学校の案内も兼ねて一緒に…」
「付き合ってないの?」
「う、うん……」
「じゃあ紹介して!!」

えっ……。

「だから言ったのに、バカ」と言いたそうな桃ちゃんに膝で小突かれた。


「イケメン転校生くんとお近づきになりたい〜!!」


えっえっ、どうしよう…!!


「やめといた方がいいわよ。彼、S組だから」


やれやれとした表情で桃ちゃんが助け舟を出してくれた。


「お高く止まってるS組なんて、普通科の私たちじゃ相手にされないわ」
「S組かぁ…でも咲玖の幼馴染なら」
「ダーメ!咲玖に迷惑かけないの!」


桃ちゃんが言ってくれたおかげで、みんなは納得してくれた。


「それもそっか…ごめんね咲玖」
「ううん!私の方こそごめんね!」