…なんでこうなったんだよ。
あいつの笑顔が好きだったはずなのに。
この笑顔が俺だけに向けられたらいいのに、って…そう思っただけなんだよ…っ。
それから結局一度も話すことはなく、中学を卒業した。
あれから俺は誰とも恋をしていない。
もちろん告られることはあった。
中学の間も、高校に入学してからも。
けど、誰とも付き合う気にはなれなかった。
ずっと胸の奥深くに突き刺さってる。
白凪咲玖のことが、今でもずっと。
そんな時、中学の同窓会の話が挙がった。
メインで話し合っているグループの中に、春日井桃乃の名前を見つけた。
直接的に関わったことはないけど、白凪咲玖と仲が良かった奴だ。
白凪咲玖に会えるかもしれない。
そう思って同窓会に行くと返事をした。
しかし――、
「私と大志は行くけど、咲玖は用事があるから行けないって」
……は?なんだよそれ。
なんでそうなるんだよ。
また俺のことを避けてるのか?
どうしたら俺は、お前に近づけるんだよ…っ。
そう思ったら、体が勝手に動いていて。
白凪咲玖の高校を聞き出し、そこに向かっていた。
「――お前、白凪咲玖?」
振り向いた瞬間、スローモーションを見ているような感覚に陥った。
中学の時と変わらずかわいくて、でもあの時よりもずっと綺麗になっていた。



