でも、動揺してるとかバレたくねぇし、てゆーか断られるとか思ってなかったし…。

次に出た言葉は、最低だった。


「――お前、調子乗んなよ」


なんでだよ。
俺と付き合うのがなんで嫌なんだよ。

今まで欲しいものは全て手に入れてきた俺が、初めて手に入れられなかった。

それが悔しいのと、プライドを傷つけられたのと、単純にかなりショックで…
ガキみたく八つ当たりした。

あの頃の俺は本当にガキで、初めての恋と失恋のやり過ごし方なんて知らなかった。
どうにかして、白凪咲玖の瞳に映りたかった。

それだけだったのに、口から出る言葉は暴言ばかり。
やがて俺に乗じて他の奴らまで白凪咲玖にちょっかいかけるようになり…いつの間にかあいつは孤立していった。

だけど、俺はそれさえも利用しようとしていた。
孤立したあいつに俺が手を差し伸べたら、今度こそ俺の方を振り向くだろ。

俺のこと、無視できなくなるだろ?
そう思っていたのに――


「…っ」


白凪咲玖は中3のクラス替えを機に、俺から離れて避けるようになった。

いつしかあいつは、俺の前で笑顔を見せなくなった。