クールな許嫁の甘い独り占め。



真っ直ぐ咲玖の目を見て尋ねた。

咲玖は少し悩んだけど、潤んだ目に強い光を宿してはっきりと答えた。


「変わると思う。変わりたい」

「そっか。じゃあ行ってきな」

「いいの…?」

「本音は嫌だけど、仕方ないじゃん。惚れた弱み?」

「〜…っ、蒼永…!」


もう一度咲玖のことをぎゅっと抱きしめる。
もう震えてない。


「やっぱり同窓会に行ってくるね…」

「うん…終わったら迎えに行く」

「ほんとに…?」

「それと、なるべく同窓会中は春日井や大志と一緒にいて」

「うん!」

「あと、俺が先に会いに行く」

「――え?」


* * *


そういうわけで、K高に来た。
咲玖は留守番で俺一人だけで。

咲玖が目黒と向き合うと決めたなら、その前にあいつに言っておきたいことがある。

K高は男子校だから、やっぱり咲玖一人で行かせるのはないな。
校門から出てくる奴の顔を一人一人見ながら、目黒が出てくるのを待った。


「おい、あそこにいる他校の奴…九竜蒼永じゃね?」
「は?誰?」
「お前剣道部なのに知らねえの?中学の全国チャンプだよ!しかも3連覇!」
「マジ?なんでそんな奴がいるの?殴り込み?」
「しかも空手でも全国3連覇らしいぞ…」
「マジで殴り込みじゃね?なぁ、目黒」

「……!」

「……あ。」


……いた。


「目黒だよね?」

「お前は…」