「大志、目黒に同情してるの?」
「してないよ。僕だって彼がしたことは許せないと思ってる。さっちゃんにはこれ以上傷ついて欲しくない」

「ねぇ、その目黒って高校どこ?」


これ以上は白熱しそうな二人の間に割って入った。


「え…、確かK高だったかな」
「わかった」
「蒼永くん?何かするの?」
「話つけにいくだけ」

「蒼永くん…!」
「いいじゃない!あの男に突きつけてやりなさい!
咲玖は俺のものだから二度と近づくなって」

「二人とも、いつもありがとう」


急なお礼に面食らったのか、春日井も大志も驚いて俺を見る。


「俺がいない時、いつも咲玖のこと守ってくれて」

「蒼永くん…」

「別にお礼言われることじゃないわ」

「むしろごめんね。本当はあの時、何度か蒼永くんに相談しようとしたんだけど…さっちゃんがどうしても黙っていてくれって」

「一応言っとくけど、あんたが頼りないとかじゃないわよ。
咲玖はただ心配かけたくなかった、それだけよ」

「わかってるよ」


過ぎたことを今更言っても仕方ない。
咲玖の性格を考えたら、言えなかったのもわかるし。

もちろん悔しい気持ちもあるけど、過去は変えられない。

でも、今は傍にいてあげられる。
あの時と違うのは、俺が傍で守ってあげられることなんだから。