「咲玖のそういうところが好きだよ」

「…へっ、」

「俺の家族のことも大事に思ってくれるところ」

「そっそんなの当たり前じゃない!?」

「結婚したら家族だもんね」

「〜っ、やっぱり蒼永変わった!」

「言わなきゃ伝わらないからだろ」


なんて言っていいのかわからず、大急ぎで朝食をかけ込み、制服に着替えて髪を巻く。

――なんかもうどうしていいのかわからないっ!!

どう反応するのが正解なの!?
私だって…結婚することくらいちゃんとわかってるよ……っ。


「咲玖、学校でもそんなに髪くるくるしていくの?」
「え?」


鏡を見てやりすぎたことに気がついた。
毛先だけ整える程度に巻くつもりだったのに、悶々としすぎてやりすぎちゃった!
これじゃあパーティーに行くみたいだよ!


「蒼永のせいだよ!」
「そうなの?そろそろ出ないと遅刻するよ」
「わかってる〜!!」


いいやもう、今日は三つ編みにしちゃえ!
これはこれでかわいいはず。
色付きリップを引いたら完成だ!


「…そんなにかわいくしなくてもいいのに」
「なんか言った!?」
「ううん、似合ってる」
「ありがとう!でも遅刻する!!」
「俺は咲玖を待ってただけなんだけどな」


朝からバタバタだけど、学校までの距離が近くなったおかげで何とか間に合いそう!
よかった……。