それからは学校に行くのがしんどかった。
桃ちゃんと大志くんがいてくれたけど、毎日つらくて…。

それでも頑張って学校に行っていたのは、蒼永が九州で頑張っていたから。


「今日優勝した」
「ほんとに!?全国大会で!?」
「うん」
「すごいね!!おめでとう!!」


蒼永は親元を離れ、空手も剣道も一生懸命頑張ってる。
だから私も頑張らないと。


「それより咲玖、何かあった?」
「何が?」
「元気なさそうに聞こえたから」
「……、何もないよ」


蒼永に心配かけないようにしなきゃ。

それから中3のクラス替えで目黒くんとは離れ、桃ちゃんと同じクラスになれてからは平和だった。
学校も楽しくなった。

目黒くんとは極力会わないように避け続け、無事に卒業。
もう会うことはないと思ってた。

それなのに――…


「私、正直言って目黒くんのこと怖い…」

「さっちゃん…」

「当然よ。私はあいつが咲玖にしたこと、絶対許さない」

「ねぇさっちゃん、このこと蒼永くんに言わなくていいの?」

「言わない!」


だって、目黒くんはもう関係ない人だもん。
これから関わることもない人なんだから、余計な心配かけたくない…。


「お願いだから、蒼永には言わないで…」

「…わかったわ」

「ありがとう…」

「それと、同窓会は欠席にしておくわね」

「うん…」