「おはよう、咲玖」

「お、おはよう……」

「朝ごはんできてるよ」

「あ、ありがとう…」


朝起きたら食卓には既に朝食が並んでいた。
玄米ご飯にお味噌汁、焼き魚まで。朝から豪華だ。


「これ、蒼永が作ったの?」
「そうだよ」
「すごいね!?ほんとに料理できるんだ!」
「これくらいは簡単だよ」


簡単にササッと作れちゃうのがすごい。
てゆーか蒼永、めちゃくちゃ普通だな…。
昨日あんなこと言ってたのに、ものすごくいつも通りって感じ。

私はあんまり眠れなかったんだけど……。

ちょっとモヤモヤしながら席に着き、早速お味噌汁を一口すする。


「! この味…、おばあさまの?」
「わかる?」
「わかる!おいしい!」


蒼永のおばあさまは小学2年生の時に亡くなった。
とても優しくて料理上手で、温かいお人柄だった。
特におばあさまのお味噌汁は、その人柄を表したかのように、優しくてほっとする味なんだ。


「ばあちゃんが倒れる前から、いずれ俺が家出るのは決まってたから、色々レシピを残してくれてたんだ。
ちゃんと食べて、丈夫な体を作りなさいって」
「そうだったんだ…」
「ばあちゃんの味には及ばないけどね」
「ううん、すごくおいしいよ。またおばあさまのお味噌汁が食べれて嬉しい」