「寮生活楽しかった?」
「まあ今思えば楽しかったかも」
「よかったね!」
「でも…」


蒼永はこてん、と私の肩に頭を寄せる。


「中学時代の咲玖を知れなかったのは、やっぱり複雑…」

「だから、こうしてアルバムにしたんだよ。
今まで過ごした時間も、過ごせなかった時間も二人で見返せるように」

「…そっか」


何年か先にまた見返して、あの時はあんなことがあったね、って笑える未来がありますように。



「咲玖、本当にありがとう」



蒼永の優しい笑顔に思わず泣きそうになった。
言葉にならない想いで胸がぎゅーってなって、でも言葉がなくてもわかるよ、って言われてるみたいに唇が重なり合う。

唇が離れたと思ったら、またすぐに重なって。

口が少し開いた瞬間、蒼永の舌が入ってきて――一瞬びっくりしたけど、深く絡まり合うキスも心地よくて…溺れちゃいそう――…


「…ん…っ、ぁ…っ」


――えっ、今の自分の声!?

なんかすごく変な声出た…っ!!


「……ごめん」


急に解放されたかと思うと、倒れ込むように抱きしめられる。
いつの間にか背中が床についていて、押し倒されていたことに今更気づいた…。


「がっつきすぎた…」

「…意外」

「何が?」

「いや、蒼永でもがっつくんだ…と思って」

「…俺はいつも、咲玖のこと欲しいと思って見てるよ」