蒼永の胸の中でコクリと頷く。


「俺は他人と接するのが得意じゃないし、どうでもいいって思うタチだけど…咲玖は違うでしょ?
周りの人のことを大事にするから」

「できてるのかな…」

「できてるよ。
同じ趣味の話ができて楽しいのもわかるから…俺に遠慮せず、仲良くしなよ」

「蒼永…」


なんでそんなに優しいの?
なんでいつも私を最優先に考えてくれるんだろう…。

言葉にならない思いが溢れて、心の中がぎゅーってなって…蒼永のことを抱きしめた。



「誰と仲良くしても、一番好きなのは蒼永だから…っ。恋してるのは、蒼永だけだからね…!」

「うん、知ってる」



好きの気持ちに上限はないのかな。
好きって思ったら、どんどん好きが溢れ出る。

愛おしさが溢れて、涙が出る。
私の許嫁が蒼永で本当によかった…。


「仲良くしてもいいけど、泣いたり甘えたりするのは、俺の前だけにしてね」

「当たり前だよっ」

「かわいい顔するのもダメ」

「かわいい顔…?してないと思うけど」

「してる」


そのまま顔が近づいてキスされる。


「――っ」

「ほら、してる」

「いっ今のはずるいよ…!」


なんて抗議したらまたキスされて、そのまま甘いキスに溺れて――…
気づいた時には夕飯が冷めてしまっていた。


「も〜!蒼永やりすぎ…!」
「咲玖も夢中になってたくせに」