EOCで働こうと思ったのは恋愛をするためじゃない。お金を稼ぐため、自立するためだ。
萌絵は残っていた烏龍茶を一気に飲み干した。
そうやって自分自身に必死に言い聞かせても、萌絵の心の中はホヨンでいっぱいになる。苦しくて泣きたくなるほど…
「…萌絵ちゃん」
萌絵の心の動揺を察したみたいに、謙人がゆっくりと目を開けた。
「ごめん、俺、寝てた…」
萌絵はビクッとする。
頭を持ち上げてゆっくりと起き上がる謙人の動きをそっと見守るしかない。
「あ、頭が痛いな…
萌絵ちゃん、悪いけど冷たい水を持ってきてもらっていい?」
「は、はい」
萌絵はすぐに席を立った。そして、奥で待機しているスタッフを呼びに行く。でも、ホヨンと談笑しているスタッフしかいない。



