イケメンエリート、最後の独身



「私、アフリカの小さな街で、ある日本人のNPO団体が作った学校で働いていた事があるんです。
 いわゆる保健室の先生みたいなお仕事で、具合の悪い子やケガをした子のお世話をしてました」

「その時の先生に告られた?」

 ホヨンは本当に楽しそうだ。でも、考えが単純過ぎる。確かに、その時一緒に働いていたスタッフに素敵な人はいっぱいいたけれど。

「先生じゃなくて…」

「先生じゃないのかよ~」

 こんな時のホヨンはとても可愛らしい。仕事中のホヨンとは別人になる。
 私はさっき頼んでおいた烏龍茶をストローで一気飲みした。もう、完全にお酒は抜けている。

「先生じゃなくて、生徒の方です。
 彼はまだ12歳で遠く離れた村から長い時間をかけて学校に通っていて、いつも足に擦り傷を作って、しょっちゅう保健室に来てました。
 日本の事が大好きで、お友達も交えてよくお喋りしてたんです」

「そんな子がどういう告白をしてきたの?」

 萌絵はその頃の事を思い出すと、何だか甘酸っぱい気持ちになる。