イケメンエリート、最後の独身



「あと、仕事を離れた時は、俺には敬語は必要ないから。
萌絵の方が年上なんだし、何なら命令も有りだから」

 萌絵はクスッと笑った。また、無意識に謙人の髪を触りながら。

「でも、例えばさ、NPOの仕事で海外で働いて、そこで恋人とかはできなかったの? 日本の彼氏よりいい男はいっぱいいたでしょ?」

「まだその話が続くんですか?」

 萌絵はげんなりとした目でホヨンを見た。でも、ホヨンは興味津々に萌絵の答えを待っている。

「恋人なんていませんでした。
 そういう平和な環境じゃないところが多かったので。
 でも、一度だけ告白された事はあります…」

 萌絵はそう言って、すぐに口を閉じた。
 ハイレベルの世界に住んでいるホヨンに話しても笑われるだけだと、そう言った後に気付いてしまう。

「え、誰に?」

 でも、それは遅すぎた。ホヨンはまた前のめりになっている。