「謙人さん、大丈夫ですか?」
萌絵の声は謙人に届いていない。謙人の穏やかな寝息が聞こえてくる。
萌絵は謙人の寝顔を見ていると、何だか愛おしい気持ちになった。萌絵より何個も年上のはずなのに、今、ここで眠る謙人は少年のようだった。
「寝ちゃった?」
明智さんは困ったように謙人の顔を覗き込む。
「謙人さん、普段はこんな飲み方しないのに、珍しいな。
この感じじゃ、しばらく起きなさそうだね」
明智さんは苦笑いをする。トオルに謙人をちゃんと送り届けるよう頼まれたため、どうしようか悩んでいる。
「明智さん、帰ってもいいですよ。
俺が二人ともちゃんと送り届けるんで。
謙人さんの住所はリストをもらってるから分かってるし、萌絵は全然元気で歩けるし、本当、大丈夫ですので」
ホヨンは最年少者らしくそう提案する。最年少者という自覚があるかどうかは分からないけれど。



