イケメンエリート、最後の独身



 萌絵はすぐに謙人の方を見た。
 謙人は萌絵のところに来る事はなく、映司とずっと話していた。だから、萌絵も謙人の事をあまり気にしなかった。
 確かに、今の謙人は気分が悪そうに下を向いている。
 すると、映司が萌絵の前に来て、こう囁いた。

「萌絵ちゃん、謙人とも話してあげてね。
寂しそうな顔をして、萌絵ちゃんの事を見てたからさ」

「は、はい、分かりました…」

 萌絵はハッとした。どうして今まで、こういう状態になった謙人に気付かなかったのだろう。
 萌絵はトオルと映司を見送った後、すぐに謙人の横に座った。

「謙人さん、大丈夫ですか?」

 萌絵は冷たい水を謙人の前に置くと、そう問いかけた。

「大丈夫だよ… あと、萌絵ちゃんは俺がちゃんと送るから…」

「あ、でも、トオルさんが」

 萌絵がそう言いかけると謙人は萌絵の右手を握りしめる。

「大丈夫だよ…」

 謙人はそう言いながら萌絵の肩に寄りかかるとそのまま倒れ込み、萌絵の膝の上で寝てしまった。