イケメンエリート、最後の独身



 もう予定の時間より二分ほど過ぎている。きっと、皆、揃っているはず。
 謙人がドアを開けると、そこはおとぎ話に出てくるお城のような空間だった。薄暗い中、廊下の壁にはランプのような照明がぶら下がっていて、ぼんやりとした雰囲気を醸し出している。

「皆さま、お待ちかねですよ」

 萌絵の緊張はマックスに達している。
 細長い廊下の先に、もう一人タキシードに身を包んだスタッフが立っていた。
 その執事のようなスタッフは萌絵と謙人を確認すると、重厚なマホガニー色の扉を大げさに開いた。
 そこは、まるで映画のワンシーンのような空間だった。萌絵は夜景の美しさに吸い込まれそうになる。ほぼ全面が窓ガラスだった。壁の部分はほんの少ししかない。そして、Lの字に置かれた大きめのソファに、大理石のテーブル、アンティーク調のシャンデリア、もうため息しか出てこない。

「ワオ、萌絵ちゃん、変身してきた?」

 一番先に気付いてくれたのはトオルだった。