イケメンエリート、最後の独身



 謙人はその間に全ての会計を済ませた。そして、昭二にタクシーを呼んでもらう。

「謙人、まさかあの子が本命じゃないだろうな?
 いやいや、それはないか。
 お前に限って、女の子を選ぶとは思えないし」

 昭二やその仲間は、謙人の事をよく分かっていた。もちろん、謙人自身、数日前までは同じ事を考えていた。謙人という男は恋愛気質ではない、だから本気になっても無駄な事、と色々な場所で囁かれている。
 謙人は大きなため息をついた。昭二の質問に答えることはせずに。

 萌絵が女性スタッフに連れられて謙人の前に現れた時、謙人はまた息をするのを忘れてしまった。
 横の髪をアップにしてほんのりナチュラルメイクを施してもらっている。
 萌絵の眼鏡を外した大きな目は、アイシャドウで軽く陰影をつけただけで、最高にキュートな瞳になっている。
 そして、ピンク色のグロスでふっくらと膨らんで見えるくちびるは、それだけで頬にパンチを喰らったような衝撃だった。セクシー過ぎて頭がクラクラする。

「萌絵ちゃん… 可愛い…」