イケメンエリート、最後の独身



 萌絵が選んだものは、ハーフムーンストーリーという名前の付いた小さなダイヤモンドがあしらわれた三日月形のネックレスだった。
 謙人はスタッフに頼んで、そのシリーズのイヤリングと指輪を持ってきてもらう。
 総額で20万円以上の金額に萌絵はまた首を横にふる。

「謙人さん、借りるにしてももっと安いものでいいんですけど…」

 謙人はそのネックレスを萌絵の首元にかける。萌絵の声は聞こえなかったふりをする。
謙人は手際よく萌絵の髪を横に流して、慣れた手つきでネックレスをつけた。

「うん、すごく似合ってる」

 スタッフがイヤリングと指輪を持ってきて、二人の前に置いてあるトレーに載せた。

「横の髪をちょっとまとめれば、もっとお似合いになるかも」

 女性のスタッフが萌絵を見ながらそう言った。

「よければ、私がしてあげてもいいですが…」

 彼女は元美容師で、サービスの一つとして髪型のアレンジをしてくれる。その事を知っていた謙人は、すぐにそれをお願いした。
 萌絵はもうされるがままの状態だ。大人しく座っている。