仕事覚えが悪い萌絵のせいで、ホヨンの仕事が溜まっているのかもしれない。萌絵はそんな事を考えて凹んでいた。
そして、ホヨンが残っているのに、萌絵だけが先に帰るわけにはいかない。
変なところで生真面目な萌絵は、奥のスペースで今日教わった仕事の復習をしていた。
「萌絵ちゃん、そろそろ帰ろうか?」
帰り支度を済ませた謙人が、入り口から顔を覗かせる。
「あ、でも、まだホヨンさんが…」
萌絵は謙人にそう言うと、困ったように俯いた。
「ホヨンさんが残ってるので、私ももう少しオフィスに居ようかなと思っていて…」
「どうして? ホヨン君にそう言われたの?」
萌絵は思いっきり首を横に振る。
「じゃ、問題ないよ。
萌絵ちゃんは誰にも気兼ねせずに、やるべき事が終わったら堂々と帰ればいい。ホヨン君だってそう思ってるよ」
萌絵は黙ったままだ。
「ほら、帰ろう」
謙人にそう促されて、萌絵はコートとバッグをロッカールームに取りに行く。



