イケメンエリート、最後の独身



 萌絵がオフィスに戻ると、トオルと謙人が優しく迎えてくれた。
 でも、謙人に限っては顔色が悪く見える。目つきも鋭くてまるで違う人みたいだ。

「すみません… 遅くなりました…」

 萌絵はか細い声でそう言いながら、テーブルの上にカレーの入った紙袋を置いた。

「時間、かかっちゃったね… 待たされた?」

 トオルは心配そうにそう聞いてきた。でも、萌絵は何も答えられない。ホヨンに誰にも言わないでと頼まれたから。

「あの… 遅くなって本当にすみませんでした。
 ちょっと迷っちゃって… でも、大丈夫だったので…
 た、食べませんか?」

 噓をついているわけではないけれど、目が泳いでいる自分がいる。
 萌絵はアルコールで手を消毒して、紙袋の中からカレーを取り出す。そして、テーブルの上に綺麗に並べた。

「どうぞ」

 萌絵はそう言いながらも、まだ慌ただしく動いている。ウォーターサーバーから三人分の水を紙コップに入れ、またそれもキチンと並べた。

「どうぞ…」