萌絵はホヨンがこの場所を特定できるとは思えず、少しだけウロウロし始めた。
でも、ホヨンとの約束を守らないわけにはいかない。また、すぐに元の場所へ戻る。
そんな事を二回ほど繰り返していると、薄暗い路地の中から、大きめのグレーのダッフルコートを着たホヨンが歩いてくるのが見えた。
背が高く顔が小さいホヨンは、遠くからでもすぐに分かる。
ホヨンは萌絵に気付くと、大きく手を振った。
「ホ、ホヨンさん…」
…ヤバイ、泣きそう。
「どうすればこんな遠い場所まで来ちゃうのかな~」
いつもは笑わないホヨンが、笑っている。
「萌絵、面白過ぎるよ。
それと、はい」
萌絵は色々な感情が混ざり合って、ホヨンにどう返事をしていのか分からない。でも、手渡された紙袋の中を見て、涙が溢れ始めた。
「取ってきてくれたんですか…?」
その袋の中には、三人分のカレー弁当が入っていた。
「いいから、早く戻って。
トオルさん、お腹が空き過ぎると超不機嫌になるから」



