イケメンエリート、最後の独身



 萌絵は、震えるほどの寒さに両手を自分の身体に巻き付けた。
 ビルの方向へ引き返してみても同じようなビルが立ち並ぶせいで、その方角が合っているかも分からない。
 萌絵は、時間がかなり経っていることに焦っていた。
 トオルや謙人の電話番号も知らないし、自力でどうにかするしかない。

「あの、すみません。
 ちょっと道を教えてくれませんか?」

 道行くおじさんにそう尋ねてみた。

「ごめんね、俺も地方から出張で出て来てる人間だから、何も分からないんだ」

 何人かの人にそう尋ねてみたけれど、萌絵の質問にちゃんと答えられる人はいなかった。
 萌絵はどんどん不安に押しつぶされそうになる。
 そんな中、萌絵のガラケーにホヨンの電話番号を登録していた事を思い出した。
 でも、ホヨンに電話をするのは緊張するし何よりも怖い。だけど、それしか方法はなかった。トオルさん達がお腹を空かせて待っているのだから。

「…もしもし、ホヨンさんですか…」

 ホヨンはすぐに電話に出てくれた。萌絵はそれだけで泣きたくなる。