「カレーにした。謙人はいつもの辛さ4倍で頼んだから」
トオルはスマホを操作しながら、謙人にそう報告した。
「誰が取りに行く? カレーだったらすぐできるだろ?」
「萌絵ちゃんが行ってくれるって。場所はメモに書いておいた。
彼女、まだガラケーなんだって」
トオルはそういう事をバカにしたりしない。トオルはリーダーとしての素質をこのEOCで培われてきた。ジェンダーや様々な差別的思想は完全に排除されている。それはここで働く全ての人間に言える事だけれど。
「え、でも、萌絵ちゃん、大丈夫かな。
あのキッチンカーの場所って、結構、分かりづらくないか?」
謙人はそう言わずにはいられなかった。
このビル群を少し歩いたところに公園を兼ねた広場のような場所がある。そのスペースを取り囲むように何台ものキッチンカーが並んでいた。
「大丈夫だよ。真っすぐ歩いていけばすぐそこだから。
それにカレーの看板が出ている車は一台しかないし」
「まあね…」



