イケメンエリート、最後の独身



「謙人、ランチは下のキッチンカーで何か頼もうか?」

 トオルは、このビルの近くに停めて営業をしているキッチンカーのリストをスマホで見ている。

「ここには俺達とホヨンと萌絵ちゃんの四人しかいないから、まとめて何か頼もうかと思ってさ」

 すると、ホヨンが自分のブースに戻ってきた。

「お昼、一緒に頼もうか? 萌絵ちゃんの分も」

 トオルの問いかけにホヨンは首を横に振る。

「俺はいいっす。気分転換に外に出るので。
 でも、彼女はそれでいいと思いますよ。多分、食べるものとか持ってきてないと思うので」

 ホヨンは淡々とそう言った。
 ホヨンは、今時の若い子の中でも、ひと際、個性的な魅力を発している。中性的な雰囲気を醸し出しつつ、どこか力強い男らしさを感じさせた。
 少しだけ釣りあがった大きな瞳が、その独特な個性を主張している。

「了解」

 トオルはそう言うと、萌絵のいる場所へ向かった。
 謙人はそのまま仕事を続けた。仕事中はあまり萌絵に深く関わりたくない。
 関われば、ボロが出てしまう。残念ながら。