目覚めの朝も最悪だった。
胃腸の痛みは軽減していたが、まだ頭の奥の方がズキズキする。
謙人は病院からもらっていた鎮痛剤を無理やり胃に流し込む。こんなのんびりしていられない。やらなきゃいけない事が多過ぎた。
それでも体調は悪く、少しだけソファに横になった。そして、萌絵との未来を頭の中で想像してみる。想像するだけで泣けてくる。だって、謙人の隣でいつでも萌絵は笑っているから。
謙人はしばらく目を閉じてずっと考えている。そして、目を開けた時、すかさずスマホを操作した。
「あら、謙人、どうしたの?」
謙人が電話をした相手はソフィアだった。本音を言えば、この手の恋愛に関わる事は一番秘密にしておきたい人間だ。
「ごめん… そっちはもう夜だよね?」
ソフィアはしばらく黙り込む。そして、何だか楽しそうにこう聞いてきた。
「謙人の声、ガラガラじゃない、具合でも悪いの?
あ~~、そうか、そういう事か…
え~、そんな、ちょっとビックリ…
え~、噓だ~、マジだよね?」
ただでさえ頭が回らない状態なのに、ソフィアの言っている意味がさっぱり分からない。誰か、違う人と勘違いしてるんじゃないか?



