イケメンエリート、最後の独身



 謙人と何も話していない。これから先の二人の事を…
 萌絵は謙人のスマホに電話をかけてみる。謙人が動けないのなら、萌絵が
謙人のマンションを訪ねる事だってできる。
 でも、謙人は電話に出なかった。
 萌絵は折り返しの電話がくる事を信じて、スーツケースに急いで荷物を詰め込んだ。謙人の家にいつでも行けるように準備を完璧に整えておきたかった。
 しばらくすると、謙人からメッセージが入った。

“今、鎌倉の家に来てるんだ”
“謙人さん、私、明日には出発なんです”
“分かってるよ”
“でも、二人のこれからの事を何も話してない…”

少しの間、メッセージが途切れる。そして、ようやく返信が届く。

“あとで電話する”

 萌絵は分かりましたと返信をして、謙人の電話を待った。
 その間に、明智さんからメッセージが届く。明日の出発に明智さんも見送りに来てくれるというメッセージだった。萌絵は皆の気持ちが有難くてしょうがない。
 だけど、本心は不安で居ても立っても居られなかった。