送別会から三日が経ち、萌絵は明日の夕方にドイツに出発する。
謙人は…
送別会の夜は、萌絵の家で一緒に過ごした。でも、あの夜に飲んだレモンソーダが良くなかったのか、お腹を壊して朝方には自分のマンションへ帰った。
それ以来、萌絵のマンションへは来ていない。
謙人はお腹の調子が良くならず、翌日に病院に行ったらしい。お腹の原因はあのレモンソーダではなく胃腸風邪だと診断された。
「萌絵ちゃんにとって大事な時なのに、本当、自分の弱さに嫌になるよ…」
謙人は覇気のない声でそう言った。
「謙人さん、私は大丈夫なので、体をちゃんと治してください」
「ありがとう… そうするよ…」
それが昨日の話。
体調が悪いせいか、今日は電話もメッセージもきていない。
萌絵自身も出国へ向けての準備が忙しく、家に帰り着いたのは夜の八時を回っていた。
クローゼットからスーツケースを出し、荷造りを始める。でも、萌絵の頭の中は謙人の事でいっぱいだった。



