「謙人さん…?」
ホヨンはいつの間にか謙人の傍からいなくなっていた。
そんな二人を心配して萌絵が謙人の隣に来てくれた。萌絵の可愛い顔を見て、謙人は泣きそうになる。
「大丈夫ですか?」
萌絵は空っぽになったグラスにたくさんの氷を入れる。そして、炭酸水を注ぎレモンを絞って入れた。見ているだけで生唾が出てくる。
そして、更にレモンを絞る。そのテーブルに置いてあったレモンをほぼ全部絞って入れた。
「萌絵ちゃん、これ罰ゲームじゃないよね?」
萌絵はケラケラ笑う。
「謙人さん、レモン好きだから」
「いや、嫌いじゃないけど好きでもないよ。
それに目の前でこんなにいっぱいレモンが入ったら、持つ手が震える。どれぐらい酸っぱいか予想がつくから」
萌絵は楽しそうに笑いながら、そのグラスをクルクルかき混ぜる。
謙人もそんな萌絵を見て、笑うしかなかった。
そして、萌絵にこれを飲んでと言われれば、喜んで飲んでしまうのだろう。これが一世一代の恋に落ちてしまった無様な男の姿だ。



