イケメンエリート、最後の独身



 謙人は苛つく心とは反対に冷めたような目でホヨンを観察した。
 ホヨンの表情からその言葉が本気なのかそうじゃないのか、はっきりとした感情が読み取れない。
 でも、ホヨンに怯む感じはしない。そこが若さの象徴なのだろう。ある意味、怖い物知らず。それでも謙人の目にはただのひよっこにしか映らない。

「そんな異国の地で働く寂しがりの女性の心の支えになってあげたい…
 そんな萌絵の想いは、きっと、いつか、ホヨン君の重荷になるだろうな。
 お前はまだ若くて、自由で、仕事にも遊びにも恋愛にも忙しいし、その生活を犠牲にしてまで、萌絵たった一人のために尽くす事はできない。
 そんな事、俺が一番よく分かってる。
 今のホヨンは若い頃の俺によく似てるから」

 謙人はホヨンをそう諭しながら、それは自分自身の心にも響いていた。
 ホヨンの横顔を覗き見ると、正解が分からないようなそんな表情をしている。恋愛をゲームだと思っているのなら、絶対に萌絵を自分もものにしたいに違いない。
 謙人は空になったグラスに冷水を注いだ。
 今日は酔っぱらうわけにはいかない。萌絵の送別会は温かい雰囲気で終わらせたかった。