「そんな事ないよ。今日は大丈夫」
そんな謙人をトオルは自分の方へ向かせた。
「お前が萌絵ちゃんに惚れてる事は、ちゃんと分かってるんだ。
で、本当に大丈夫なのか?
萌絵ちゃんがドイツに行く事については」
謙人は大きくため息をつく。トオルにばれていたなんて思ってもいなかった。でも、こんな風に余裕がない今の自分は、きっとトオルからしたら別人に見えるのだろう。
謙人は苦笑いをする。そして、トオルの目を見て肩をすくめた。そして、もう一度萌絵へ視線を戻す。
萌絵がドイツへ行く事は今は関係ない。今は、萌絵がホヨンと話している事が重要だった。我慢できないほどの嫉妬の感情にどうかなりそうだ。
「トオル…
俺がホヨンを殴りそうになったらすぐに止めてほしい」
トオルは楽しそうに笑った。
「とうとうお前もやられたか。
凪から始まったこの訳の分からない純愛ウィルスにさ」
謙人はトオルの方を見る。
その事実はちゃんと受け入れている。だからこそ、苦しくてしょうがない。この先の自分の未来が分かるから。
「このウィルスって、いつになったら治まる?」



