萌絵は笑いそうになるのを必死に堪える。
謙人は萌絵とホヨンのキスだけはどうしても許せないと言った。その事を思い出したら大きな声で叫びたくなるらしい。
「でも、絶対にホヨンさんと話す機会はあります。
それにあの時のキスは友達関係のキスだし、謙人さんが心配するような事はないですから」
謙人は萌絵の顔を自分の方へ向け、萌絵に濃厚なキスをする。
これも毎度の事だ。とにかく、萌絵の頭に残っているホヨンのキスの記憶を、謙人のキスの記憶で消してしまいたいらしい。
「これでどう? もう忘れただろ?」
くちびるを重ねながら、そんな事を囁く謙人が愛おしくてたまらない。
「はい、多分…」
なんて言うのも毎度のお決まりのコース。
謙人はこの言葉で欲望の渦に飲まれてしまう。嫉妬というキスの嵐がしばらくは治まらない。
小さなこたつの中は、いつも忙しい。ギュウギュウ詰めの二人がいちゃいちゃくっついて離れないから。
そして、萌絵は送別会の心配が更に募るだけだった。



