謙人はこんな話をしている最中も、萌絵の首元に何度もキスをした。過去の俺なんてどうでもいいんだという感情が肌から伝わってくる。
「いわゆるバイセクシャルというやつ。
女も抱けるし、男も抱ける…
そこに感情があるかないかは別として」
萌絵は浴室に立ちこめるアロマの香りとミストのような温かい空気に、思考が上手く働かない。
でも、謙人がそう噂されているのは知っていた。
だから、特に驚きもなかった。
「そんな俺が、こんな風になってしまったんだ…
萌絵ちゃんという天使が現れたせいで」
萌絵は謙人の言葉一つ一つに心が揺さぶられてしまう。
まるで、甘いワインを飲んでいるみたいに、体の芯まで熱くなる。
「実際、こんな風に自分が変わるなんて夢にも思ってなかったんだ。
EOCの仲間が女の子に骨抜きにされているのを見て、お気の毒にって思ってた。
いいな~とか、羨ましいとか、一度も思った事はなかったし、逆に自由を奪われて可哀想な奴なんて思ってた。
そんな俺が… こんなだよ」
謙人は気持ちを抑えきれないみたいだ。
クリーム色のバスタブの中で、萌絵の体の向きを変えて抱き直す。バスタブは完璧に二人用として設計されている。どういう向きになっても、ゆったりとぴったりと二人を包み込む。



