「あいつは自分より俺がモテる事に嫉妬してるだけなんだ。
遊び人っていうより、色々な人間と様々な関係を持つ事が好きなだけ。
広く浅く男女問わず楽しく交わり合うみたいな?」
「交わり合う?」
萌絵はその表現の意味が理解できない。交わり合うにも色々な意味合いがあるけれど、謙人の言いたい事はストレートなもの。
一瞬、謙人は首を傾げ考え、そして、すぐに萌絵の目を見つめる。
「萌絵ちゃんと出会う以前の、前田謙人という人間の話をしてあげる。
以前の俺も本当の俺で、今の俺も本当の俺だから…」
謙人はそう前置きをして、静かにゆっくりと話し始めた。
「幼い頃はあまり深く考える事はなかったけど、大人になるにつれ、自分の恋愛嗜好が少しだけ一般的に言われている男女の感覚と違う事に気が付いた。
簡単に言えば、男女区別する事なく人間という単体で人を好きになるという事。
だから、俺の恋愛対象は、時には男、時には女だったりした。
ま、でも、のめり込む事はなかったけどね。
恋愛っていっても、俺の中ではゲ―ムの感覚だった。
だから、周りは俺の事を遊び人って呼んでた。真剣に人を好きになる事なんてなかったからね」



