「萌絵ちゃん… 愛してる…」
愛してる…しか言わない謙人に、萌絵も愛してる…しか返せない。
愛してる…の言葉だけで十分だった。
それ以外の言葉は必要ない。この先の展開は変わらずにそこに待っている。だからこそ、今のこの時間を純粋に正直に過ごすしかなかった。
謙人の作ってくれた柚子ソーダはとても美味しかった。長い時間、お風呂で過ごしているせいで、三杯もおかわりした。
謙人の嬉しそうな顔を見ているだけで、萌絵は胸がいっぱいになる。
「謙人さんって、すごい遊び人だったって聞いたんですけど、私の知ってる謙人さんからは想像がつかない…」
「その情報を萌絵ちゃんに仕込んだ人間を、俺が当てていい?」
謙人の胸の中に抱かれた萌絵は、謙人を見上げ小さく頷いた。
「映司というお喋り男」
萌絵は笑って大きく頷いた。



