イケメンエリート、最後の独身



 謙人は、萌絵と一緒にお風呂に入る事が好き過ぎる。だから、お風呂の時間になると可愛らしい少年のような振る舞いになる。
 萌絵はそんな謙人がたまらなく愛おしかった。
 でも、たまに、そんな謙人をちょっとだけ焦らしたりする。

「あと、二杯くらいワインを飲みたい気分…」

 萌絵の可愛らしい我儘に、謙人は首を横に振った。

「ダメだよ。
 酔っぱらってお風呂に入るのは危険だからね。
 お酒じゃないけど、俺がバスルームに特製の柚子ソーダを準備してあげる。
 美味しいよ、だから、このまま連れて行きまーす」

 萌絵は可笑しくてクスクス笑う。
 そんな萌絵の口を謙人はキスで塞いだ。
 謙人にキスをされれば、もう萌絵の方がひれ伏すしかない。
 謙人の隙のない完璧なキスは、恋愛初心者の萌絵には刺激が強過ぎる。
 キスだけでおかしくなってしまう。もう引き返す事のできない沼の中へ落ちてしまう。そして、そんな感覚が快感に繋がっていく。あっという間に裸にされて、二人一緒に同じタイミングで天国へ昇って行く。
 魂と魂が絡み合って、幸せという一つの個体となって…