イケメンエリート、最後の独身



「きっと、萌絵っていう名前に反応してるだけなんだ。
 俺の母親の話では、俺の初恋は萌ちゃんっていう名前の子だったらしくて、その子の事が相当好きだったって呪文のように言われ続けてきたから。
 俺は全く覚えてないんだけどね」

 映司のニヤついた顔がむかついてしょうがない。
 小さな声でご愁傷様って言っている。

「まあ、謙人君、頑張りたまえ。
次に会う日を楽しみにしてるよ」

「っていうか、お前、何しにここにいるんだよ。今は他の仕事をしてるくせに」

 映司はゲラゲラ笑っている。でも、俺は全く笑えない。
 恋に落ちたなんて、少女漫画の世界だけで十分だ。
 でも、この胸のざわめきが気になってしょうがない。
 頭の中はピンク色のシャボン玉がフワフワ浮いている。
 これが恋なのか?? 
 いやいや、マジでやめてくれ~~