イケメンエリート、最後の独身



「あ、はい、いいですよ… でも…」

「でも?」

 萌絵は謙人の腕の中で謙人を見上げた。

「でも、お布団が一組しかないんです…」

 謙人の顔にフッと笑みがこぼれる。

「それは大丈夫。
 たとえ布団が二組あったとしても、俺は萌絵ちゃんの布団で一緒に寝るから。
だって、ベランダの向こうは墓地なのに、怖くて一人じゃ寝れないよ」

 萌絵は、謙人の腕の中でケラケラと笑った。謙人も釣られて笑ってしまう。  
 そんな萌絵の甘い吐息は、謙人の心蔵にハートの矢を何本も突きさす。そして、その痛みは強烈な快感だった。
 だけど、きっと、今夜、萌絵と同じ布団で一緒に夜を過ごしても、謙人は何もできない。
 萌絵に嫌われたくないし、それ以上に、萌絵の事を傷つけたくないから…