「怖がらせるつもりはなかったんです。
でも、このことだまマンションに異様に反応している謙人さんを見て、もしかしたら、今日、幽霊が出るかもしれないなんて、ちょっと思ってました」
確かに、謙人はことだまマンションの事は最初から気になっていた。
「謙人さん、大丈夫ですから。
もし、怖い事が起こったとしても、ちゃんと私が謙人さんの事を守りますから」
謙人は萌絵に抱きしめられているだけで、それだけでよかった。このまま天国へ召されてもいい。
そして、萌絵に守られている…
そういう女性からのリアクションに慣れていない謙人は、ついつい、気持ちが子供のように素直になってしまう。
「萌絵ちゃん…
俺の事を慰めてくれる? 今日、色々な事があり過ぎて…」
それ以上は言いたくなかった。全てがホヨンのせいになってしまう。



