「でも、好きでもない人とキスはしないよ」
この期に及んで、ホヨンをかばってしまう謙人はやはり完全にパニックになっている。
キスをした…
俺の大好きな萌絵ちゃんがホヨンとキスをした…
その事実は謙人の頭の中をぐちゃぐちゃに破壊する。
冷静になりたいと思った謙人は、テーブルから離れ窓際に立ちカーテンを開けた。
とにかく寒くてもいいから外の空気を吸いたかった。
「あ!」
「え?」
すぐさま萌絵がやって来て謙人の前に入り込み、カーテンを慌てて閉めた。
萌絵は謙人と体がくっつくくらいの狭い場所に入り込んでいる。
「萌絵ちゃん、今、外に…」
謙人は一瞬目に入った光景に背筋が凍りついた。さっきまでしんみりしていた自分さえ忘れてしまうくらいに。
「謙人さん、忘れてくださいね。
このカーテンは開かずのカーテンなんです。先に言うのを忘れてました」
萌絵はニコニコした顔でそんな恐ろしい事を言う。
「え、でも」
謙人はそう言いながら萌絵の頭より高い位置のカーテンを思いっきり掴み、その勢いで全開にした。



