イケメンエリート、最後の独身



「今日は本当にごめん…
 普段の俺はこんな風に酔っぱらうなんてほとんどないんだけど、今日はどうかしてた…」

 謙人は自分の愚かさに凹んでしまいそうになる。

「何かあったんですか? 嫌な事とか…」

 謙人はそんな萌絵の言葉に増々凹んでしまう。謙人の醜態の理由を全く察知できない萌絵は、謙人に何も興味がないということなのだと…

「嫌な事じゃないんだけど…
 自分でも初めての感情で、どう対処すればいいのか分からないだけなんだ」

 萌絵はそんな謙人を心配そうに見ている。

「でも、今日の萌絵ちゃんは本当に可愛かった。
 みんな、驚いてたよ。びっくりするほど綺麗だって」

 謙人はそう言いながら、今夜の出来事を思い出す。そして、すぐにホヨンと萌絵の密接な関係性が頭に蘇ってきた。また、キリキリと頭が痛み出す。

「謙人さん、このワンピースの代金なんですけど、給料が入ったらきちんとお返しします。あまり人に高価な物をプレゼントしてもらう事に慣れてなくて。
 でも、このワンピース、すごく気に入りました。
 今日は本当にありがとうございました」