うちの命はもう長くない。

神様の通達が来てしまったから。



“次の春は迎えられないでしょう。”



幼い頃からの決定事項。うちは病気で死ぬ。

死ぬ日が決まった。

後は死神に命をあげるだけ。

小さく空っぽな命を捧げるだけや。



特に悲しくも悔しくもないのに意味のない涙が出た。



人間はほんまにめんどい生き物や。



まーそんなことどうでもいい。

うちがいつ死のうが、それが悲しかろうが、問題はそこじゃない。



このお告げをあいつには知られんようにすることや。

あいつにだけは知られへんことや。



窓の外を眺める。

病室の小さな窓からはもう葉がほとんど落ちた木が見える。

残った葉が最後の気力をふりしきるかのように、必死に木にしがみついている。



まるでうちのようだった。



あーあ。惨めやな。

こんな弱っちい体で、たった16年の命で。



それでもこの世界にしがみついてこれたのはあいつのおかげやろう。

だからこそあいつには幸せになって欲しい。

うちのおらん世界で。