「平野さん、その原稿明日までだからね。」

 「はい、分かってます。」


 「あの、ガーデニングの記事も明日までだよ。」

 「はいはい、了解です。」


 私は、大学を卒業してとある都内の出版社になんとか就職が決まった。

 今年は四年目。大分慣れてきた。


 ここは、放送局とタイアップして、いろんな趣味の雑誌や特集本など多岐にわたる雑誌を発刊している。

 私は今、園芸と料理を担当している。

 園芸は、ド素人だった。

 色々とあちこちに行って、勉強してようやく書けるようになってきた。


 料理関係は……バイトの時の経験と、先輩のアドバイスもあり、割とすんなりと入れてると自分では思ってる。



 そう、三橋達也先輩とはいまだにお付き合いしている。

 もうすぐ六年になる。

 とはいっても、私と付き合いだして九ヶ月くらいで彼は就職してしまい、卒業した。

 そして、遠距離?でもないけど、会えない日々が普通になった。


 私は、姉が帰ってきたときにマンションから出て、丁度社会人になったとき一人暮らしになった。

 彼はとても心配して、親のように私の住まいを厳選して、結果ほぼご近所にマンションを探してきた。

 最初は同棲しようと強く言われた。


 いやだったわけではない。でも、それをするとなし崩しになりそうで、うなずけなかった。

 彼が嫌いとか、そういうことではない。

 恥ずかしいけど、私も彼を愛してる。

 だけど、自分の人生を生きると決めている。



 彼は御曹司。そして大きなグループの跡取りとして期待されている。

 会長であるおじいさまはそう遠くないうちに彼がグループのトップになると私に言った。