「あいつの地元に来ないかって言われたろ?」

 気持ち悪い。どうしてわかるの。

 「来ないかっていうか、群馬に晴人の叔父さんが経営している出版社があるそうで、そこを受けないかって言われて。」

 「断ったんだろ?」

 「……一応、関東がいいので、こっちで就活してみるとは返事しました。」

 「なら、頑張るんだな。決まらないと、そっちへ連れて行かれるぞ。」

 「……先輩、そしたらどうするんですか?」

 「そうだな。あっちから通うかな。ていうか、そうさせねえけどな。」

 「……。」

 「奈由。あいつが戻ったらはっきりさせようぜ。そのほうがあいつのためでもある。理由は戻ると分かるだろう。とにかく、俺はお前のやりたいことを反対する気はないし、無理矢理付き合えと言うつもりもない。お前の決断を待ってるんだ。でも、花咲かじいさんのように白髭になる前に決めてくれよ。ストレスで病気になる。待つのは本来得意じゃないんだ。お前だから待ってるんだぞ。」