「丁度よかった。子リス入れよ。」

 「へ?」

 そう言われて、入れる感じではない。


 「お茶入れればいいですか?」

 「誰がそんなこと頼んだ?」

 「いいえ。そちらの方にお出しすべきかと。お客様ですよね?」

 困った顔をした先輩が私の腕をつかんで部屋へ引きずり込む。

 
 「爺さん。紹介しとく。俺の将来の嫁。」
 
 「は?」

 「なんじゃと?」

 「タカヤ先輩。私、まだお付き合いもしていませんけど。熱でもあるんですか?」

 つま先立ちで先輩のおでこに手をやる。
 
 
 
 「達也。ふざけるのもいい加減にせい。」

 「まず、爺さん。ふざけてなんていない。こいつは、婆さんに雰囲気が似てる。つまり、ウチの嫁にピッタリの人材だ。」

 「……なんじゃと?」

 「それと、子リス。」

 「婆さんて何?失礼ですよね。」

 頭にきて言い返す。
 
 「お前は俺の所に来たら一生離さないと前言ってあっただろ。つまりそういうこと。俺が嘘を言っていないことをここで証明する。この爺さんは俺の爺さんだ。ミツハシフードサービスという会社の会長だ。このレストランチェーンも爺さんのところの会社でやってるんだ。」

 なんですって?は?

 目を白黒させている私を見ながらにやりと笑う。

 
 おじいさんの前のソファに座らされてしまう。

 ドアが閉められた。鍵をかけてしまう。

 私の隣に座ったタカヤ先輩はにこにこしている。