翌日日曜日。午後からバイトに入る。

 なんか、昨日のこともあって浮き足だっているかも。

 
 詩乃とロッカールームで入れ違いになった時、付き合うことを報告した。

 「やっとか。良かったね、奈由。」

 「何それ?」
 
 「あんた達の間にいた私がどれだけ気を遣ってきたことやら。特に晴人。涙ぐましい陰の努力に乾杯。」

 ……む。なんだか私が悪いみたいな言い方じゃない?


 詩乃をにらんでたら、笑われた。
 
 「とにかく、晴人も恋人にならないと守り切れない感じなんだよ。」

 「よく言うわ。私もしかして、晴人の虫除けだったりして。」
 
 「……あんたね。まあ、気持ちは分からんでもないけど、晴人の奈由への思いは確かだよ、見てきた私が断言する。知らぬは仏だね。」

 肩を叩いて、詩乃が帰って行った。



 今日は店長がいて、タカヤ先輩は休みだった。

 篠宮さんもいない。

 とりあえず、1人でできるようになってきたので、黙々と仕事をこなして、9時にあがった。



 駅前でタカヤ先輩と篠宮さんが歩いているのを見かけた。
 
 篠宮さんがタカヤ先輩の腕に手をかけている。

 タカヤ先輩がその腕を放して、篠宮さんの背中を改札へ押していく。
 
 篠宮さんが改札を通り抜けて、タカヤ先輩のほうを振り向く。


 じっと見てしまった私と目が合った。
 
 篠宮さんが私に気づいてニヤリと笑った。

 私はどういう意味かわからないけど、とりあえず会釈を返した。


 すると、踵を返したタカヤ先輩が私に気づいた。

 「子リス、バイト帰りだろ?」

 近寄ってくる。


 何?篠宮さんとデート?篠宮さんがこちらを見てる。

 つい、後ずさって、転びそうになる。