バイト先に行くと、三橋さんではなく店長がいた。

 とりあえず、週3日は最低でも入り、授業に慣れたら合間にも入ることで合意し採用された。

 「前回会った三橋君がチーフをしているから、僕が居ない時は彼に連絡してね。今日は、制服を渡すから着替えて。それから仕事内容について篠宮さんから聞いてもらおうかな。」

 篠宮さんは、4年生。三橋さんと同じ学部だそうで、長い髪をお団子に纏めている。口元のほくろが彼女を色っぽく見せる。
 ほんと大人っぽい美人。

 「原口さんと同級生ですってね。よろしく。」

 「はい。原口さん、詩乃とは1年生からの友人です。よろしくお願いします。」 


 仕事を習っていると、黒いエプロンを巻いた三橋さんが厨房に入ってきた。

 「達也、新しく入った平野さん。文学部3年ですって。原口さんの友達みたいよ。」

 こっちを見た三橋さんは、私を見てニッと笑い聞く。

 「やあ、子リスちゃん。今日は何時まで?」

 「達也、彼女を知ってるの?」

 子リスってなんなのよ!また、頬を膨らませて彼を見る。すると、ぷっと吹き出して三橋さんが笑う。

 「また子リスになってるぞ、ほら、スマイルだぞ、接客だろ。」

 呆気に取られた顔をして篠宮さんが三橋さんを見つめている。

 クルッと踵を返した篠宮さんに遅れないようについて行く。

 なんか、その後の篠宮さんはぶっきらぼうで、シフトの時間が来たらしく先にあがった。