こうして、一件落着し、引き続きサバイバル暮らし続行となった悪役令嬢ふたりは、今日もいつもの野原に立っていた。
 ふたりの縦ロールが、野を吹く風に揺れている。

「パメラさん。わたくし、とても良い友達がいて本当に幸せよ」

 目をすがめて野ウサギを探していたアルベルティーヌが、前ぶれなくぽつりと呟いた。パメラは真っ赤になる。

「か、勘違いしないでくださる!? この前の一件は、わたくしはあくまで自分の衣食住のためにやっただけですわよ!」
「ホホホ、お約束みたいな台詞ですわね。いわゆるツンデレってやつですわ」
「アルベルティーヌさんの口から俗っぽい言葉が出てくると違和感がありますわね……。でもまあ、そう言うことにしてあげても良くってよ」

 悪役令嬢ふたりは、お互いに見つめあって高笑いし、そして次の瞬間、目の端に映った野ウサギを揃って全力で追いかけ始めた。