一方、イマイチ空気が読めないロバートは、切々と訴えた。
「ねえ、アルベルティーヌ。僕の一度きりの過ちを、どうか許してはくれないか? 僕はあの性悪女のミニュエットに誑かされてしまったんだ。あの女が、あんなに役立たずだとは思わなかった」
「殿下、わたくしは追放された身ですわ。いまさら首都に戻るわけには……」
「そんなのできない! 僕は君を連れて帰るんだ! 僕には――、いや、僕だけではなくこの王国に、アルベルティーヌ、君の力が必要なんだ!」
「この王国に、わたくしが必要……」
アルベルティーヌの頑なだった態度に、綻びが生じる。
アルベルティーヌ・ル・ハルベリーは厳しくも愛国心溢れる両親のもと、理想的な王妃になるべく育てられてきた。それは、すべてはこの王国のため。
だからこそ、「この王国に君の力が必要」とまで言われてしまうと、彼女は強く拒否できなくなってしまう。たとえ、元婚約者であるロバートにひとかけらの愛情すら残っていなくても。
アルベルティーヌの頑なな空気が揺らいだのを見て、ロバートはもう一押し、とばかりに訴える。
「こんな薄汚れた田舎に、高貴な君を置いていくなんて可哀想だ。さあ、一緒に――」
「お言葉ですけど、王宮に行く方がよっぽどアルベルティーヌさんが可哀想でしてよ!」
高飛車な声が、アルベルティーヌとロバートの会話を遮った。パメラである。
「この際ハッキリ言っておきますけれど、貴方よりわたくしのほうがアルベルティーヌさんを幸せにできましてよ!」
「ぱ、パメラさん!?」 「パメラ嬢!?」
ぎょっとしたアルベルティーヌとダグラスの声がハモる。
ロバートはムッとした顔をして、急にしゃしゃり出てきたパメラを睨みつける。
「な、なんだ、貴様は!」
「初めまして、王子さま。わたくし、アルベルティーヌさんと一緒にこのお屋敷で暮らしているパメラ・ファルーヴと申します。畏れ多くもこの王国の太陽に抗議することをお許しくださいませ。まあ、許していただかなくてもお話しますけれど」
「この僕に、抗議するだと!?」
「ええ。だって、わたくしの大事なお友達が、このままだと不幸な道に進んでしまいそうなのですもの」
「ねえ、アルベルティーヌ。僕の一度きりの過ちを、どうか許してはくれないか? 僕はあの性悪女のミニュエットに誑かされてしまったんだ。あの女が、あんなに役立たずだとは思わなかった」
「殿下、わたくしは追放された身ですわ。いまさら首都に戻るわけには……」
「そんなのできない! 僕は君を連れて帰るんだ! 僕には――、いや、僕だけではなくこの王国に、アルベルティーヌ、君の力が必要なんだ!」
「この王国に、わたくしが必要……」
アルベルティーヌの頑なだった態度に、綻びが生じる。
アルベルティーヌ・ル・ハルベリーは厳しくも愛国心溢れる両親のもと、理想的な王妃になるべく育てられてきた。それは、すべてはこの王国のため。
だからこそ、「この王国に君の力が必要」とまで言われてしまうと、彼女は強く拒否できなくなってしまう。たとえ、元婚約者であるロバートにひとかけらの愛情すら残っていなくても。
アルベルティーヌの頑なな空気が揺らいだのを見て、ロバートはもう一押し、とばかりに訴える。
「こんな薄汚れた田舎に、高貴な君を置いていくなんて可哀想だ。さあ、一緒に――」
「お言葉ですけど、王宮に行く方がよっぽどアルベルティーヌさんが可哀想でしてよ!」
高飛車な声が、アルベルティーヌとロバートの会話を遮った。パメラである。
「この際ハッキリ言っておきますけれど、貴方よりわたくしのほうがアルベルティーヌさんを幸せにできましてよ!」
「ぱ、パメラさん!?」 「パメラ嬢!?」
ぎょっとしたアルベルティーヌとダグラスの声がハモる。
ロバートはムッとした顔をして、急にしゃしゃり出てきたパメラを睨みつける。
「な、なんだ、貴様は!」
「初めまして、王子さま。わたくし、アルベルティーヌさんと一緒にこのお屋敷で暮らしているパメラ・ファルーヴと申します。畏れ多くもこの王国の太陽に抗議することをお許しくださいませ。まあ、許していただかなくてもお話しますけれど」
「この僕に、抗議するだと!?」
「ええ。だって、わたくしの大事なお友達が、このままだと不幸な道に進んでしまいそうなのですもの」

