タイミングは最悪でした。


ずっと楽しみにしていた高校生活。入学式に見た君はとても綺麗で美しかった。


スっと高い鼻、切れ長で一見怖そうに見える細い目、ちょこんとのった薄くてピンク色のくちびる。


一瞬で目を奪われた。


君に恋をするのには時間はかからなくて瞬きをするくらいに一瞬だった。寂しそうに桜を見るその目に惹かれていった。


だけど……



「おまたせ!ごめん、待ったでしょ?」



君に見惚れて時間を忘れているととても可愛らしい女の子が話しかける。


ハッとしてそちらに目をやると先程まで冷たかった彼の表情が明るくなる。彼女を見るとふわっと柔らかい笑顔で包み込んでいて。


ズキっと胸が痛んだ。



「ううん、全然待ってないよ。帰ろうか」


「うん!あー、疲れたぁ。入学式ってなんでこんなに疲れるんだろ……」



仲良さげに歩くふたり。


それはまるでカップルのようで。